スタイルLoRAを学習した。マチエールLoRAも手に入れた。次の難問:競合させずに組み合わせる方法。
理論上はシンプルだ——二つのLoRAを読み込んで強度を上げればいい。実際には、重みの競合、色ずれ、テクスチャの過飽和、なぜこんなことになったと思わせるアーティファクトに遭遇する。このガイドでは実際に機能することを、実際のテスト値付きで説明する。各LoRAの根拠ある設定値を理解してから本ガイドを読むと、より深く理解できる。
スタックの概念——文法と素材
設定に入る前に、なぜこれが機能するかを整理する。
スタイルLoRAはモデルにビジュアル文法を教える。カラーパレット、筆触のパターン、構図のウェイト、フレーム全体の光の分布。ClassipeintXLを読み込むと、モデルは「油絵はこう見える」を学習する。
マチエールLoRAは素材の物理を教える。金箔と鋼に光がどのように当たるか、テクスチャのある表面で筆触がどのように奥行きを作るか、漆がどのように反射を捉えるか。SHIFUKU Gold Leafを読み込むと、モデルは「金箔はこのように光を屈折させる、黄色いペイントとは違う」を学習する。
二つは異なる問いに答えている。スタイルLoRAはどういう種類の絵か、マチエールLoRAは何の上に描いているか。モデルの注意を奪い合うのではなく、補完的な情報を与えている。ただし正しくスタックした場合のみ。
スタイルLoRAとの組み合わせ使用を想定した重み設計。複数LoRAでの動作検証済み。
LoRAパックを見る →ルール1:合計重みを2.0〜2.5未満に保つ
これが最も重要なルールだ。LoRAは線形にスケールしない。それぞれ1.0の二つのLoRAは、2.0の一つのLoRAとは同じではない——モデルのニューロンへの合成圧力は高くなり、アーティファクトが出る。ぼやけた出力、幾何学的歪み、色の崩壊、奇妙なテクスチャパターン。
マチエールLoRA:0.6
合計:1.3(2.0まで余裕あり)
そこから見たもので調整する。スタイルが素材を上書きしているなら、スタイルを0.6に下げてマチエールを0.7に上げる。テクスチャが攻撃的すぎて構図を飲み込んでいるなら、マチエールを0.4〜0.5に下げる。推測ではなくチューニングだ。
ルール2:Clip Skip 1と2の両方をテストする
Clip Skipがモデルがテキストエンコーダのどの程度を使うかを決める。Skip 1 = フルエンコーディング;Skip 2 = 短縮エンコーディング。LoRAによってどちらとも相性が良い。
スタックされたLoRAでは相互作用が変わりうる。ClassipeintXLは単独ではSkip 2が好きかもしれないが、マチエールLoRAとペアにするとSkip 1の方がうまく機能するかもしれない。両方テストする。各組み合わせで30秒かかる。
2. 同じシードで Clip Skip 1 で生成
3. 同じシードで Clip Skip 2 で生成
4. 素材感の正確さ・色の安定性で比較
5. 良い方を本番設定に採用
ルール3:オフセットLoRAの競合を監視する
一部のLoRA(特に古いもの)はオフセット値を使ってベースモデルの色かぶりを補正する。二つのオフセットLoRAが重なると、その補正を黄色や青のシフトに増幅させることがある。
出力が突然黄疸がかったように見えたり色が洗い流されたりした場合、使用中のオフセットLoRAを削除する。ClassipeintXLの作者 eldritchadam がこの問題を記録している。修正は1行で済む——オフセットLoRAをアンロードするだけ。
推奨スタック構成——実践値
| スタック組み合わせ | スタイルLoRA重み | マチエールLoRA重み | Clip Skip | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 油絵スタイル + 金箔 | 0.7 | 0.6 | 2 | 金箔が主題の場合は金箔を0.8まで上げる |
| 水彩スタイル + 厚塗り | 0.6 | 0.7 | 1 | テクスチャを水彩の滲みより強調したいとき |
| 日本画スタイル + 砂子 | 0.8 | 0.5 | 2 | 背景の大気感として砂子を使う場合 |
| リアリスト + 刃文 | 0.6 | 0.8 | 1 | 接写で刀の素材感が主題のとき |
これらは出発点であり正解ではない。同じモデルに同じLoRAを使っても、ベースモデルの版・VAE・サンプラーで結果が変わる。これらの数値から始めて、見ながら調整する。
よくある問題と対処法
→ マチエールLoRAを0.1〜0.2下げる。0.4が実用的な下限
スタイルが素材感を上書きする
→ スタイルLoRAを0.1下げ、マチエールLoRAを0.1上げる
黄色・青のシフトが出る
→ オフセットLoRAを無効化する
どちらのLoRAも効いていない感じ
→ まず単体でそれぞれをテストし、独立して機能するかを確認
全体がぼやける・アーティファクトが出る
→ 合計重みが2.0を超えていないか確認。まず各LoRAを0.1ずつ下げる
スタイルLoRAとマチエールLoRAは同じリソースを奪い合っていない。前者は「どういう絵か」を教え、後者は「何の素材か」を教える。正しい重み比率を見つければ、一方が他方を強化する——スタイルが素材の見え方の文脈を提供し、素材がスタイルに物質的な重みを加える。
チューニングが必要だが、そのチューニングは推測ではない。上記のルールを理解していれば、なぜある組み合わせが機能してある組み合わせが機能しないかが予測できるようになる。LoRAのコスト効率を考慮しながらスタック設定を最適化することで、限られたリソースで最大の効果を得られる。
LoRAスタックを、体系的に習得する。
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