Blog ─ データセット

質感LoRA学習用データセットの作り方
美術品撮影から画像選定まで

最終更新: 2026年2月25日 読了時間: 約14分

DCAIさんの記事がキャラクターLoRA用のデータセット作成を体系的にまとめている。本記事は「キャラ」ではなく「質感」——マチエールをAIに学習させるためのデータセットに特化する。

1. 質感LoRAに必要な画像とは何か

「形」ではなく「表面の物性」を学ばせる

キャラクターLoRAが学習するのは「形」だ。質感LoRAが学習するのは「表面の物性」だ。金箔のクラックのパターン、厚塗り絵具の盛り上がりの陰影、漆の深い光沢——これらは被写体の構造ではなく、表面そのものの性質だ。

質感撮影の3原則

博物館の美術品撮影プロトコルから借りてくるべき原則が3つある。

1. 統一された照明条件

照明が画像ごとに異なると、LoRAは「質感」ではなく「照明の違い」を学んでしまう。45度の角度から均一な拡散光を当てるのが基本。

2. 被写体からの距離が一定

マクロ撮影で極端に寄った画像と引いた画像が混在すると、LoRAは「スケールの変化」を学習してしまう。

3. 背景の排除

背景のテーブルの木目や壁の色がLoRAに混入する。単色の背景(グレーの布が最適)を使うか、トリミングで背景を除去する。

2. 撮影機材と条件(予算別)

予算機材ポイント
0〜3,000円スマートフォン+自然光制御窓際でトレーシングペーパーをディフューザーに。一度に全枚数を撮影
3,000〜10,000円スマホ+LEDライト+三脚45度からメインライト、反対側にレフ板。照明条件を完全コントロール
10,000円以上ミラーレス一眼+マクロレンズF8〜F11まで絞ってピント面確保。三脚必須

「質感を殺す照明」と「質感を活かす照明」

質感を殺す照明——正面からのフラッシュ光。表面の凹凸が影を作らないため、のっぺりした画像になる。

質感を活かす照明——斜め45度からのサイドライト。表面の凹凸が影を落とし、マチエールの立体感が鮮明に浮かび上がる。博物館でレリーフや油絵を照らすときの手法そのものだ。

3. 画像選定の基準——何を残し何を捨てるか

30枚撮って15枚に厳選する

質感LoRAの学習画像は20〜30枚が適量だ。まず30枚以上を撮影し、以下のチェックリストで厳選して15〜20枚に絞る。

必須条件(1つでも該当したら除外)

推奨条件(品質をさらに上げる)

鉄則

学習データの質は、完成LoRAの質の上限を決める。dim=128に設定しても、学習画像が悪ければdim=32と同程度の結果しか出ない。

4. キャプション付けの考え方

質感LoRAのキャプションはキャラLoRAと異なる

トリガーワード + 素材の物性記述という構成にする。

金箔(Kinpaku)の例

kinpaku_texture, gold leaf surface, fine irregular cracks,
warm metallic reflection, subtle oxidation tones,
overlapping foil boundary lines

厚塗り(Atsunuri)の例

atsunuri_texture, thick impasto paint surface,
palette knife ridges, visible paint strokes direction,
layered pigment depth, rough tactile surface

漆(Urushi)の例

urushi_texture, japanese lacquer surface, deep glossy finish,
multiple coating layers visible, subtle color depth variation,
smooth yet organic surface quality

トリガーワードの設計思想

トリガーワードは「一般的な英単語と被らない固有語」にすること。SHIFUKU Seriesでは、全てのLoRAに [素材名のローマ字]_texture 形式のトリガーワードを設定している。

5. まとめ:データセット構成例——金箔LoRAの場合

フォルダ構成

kinpaku_lora_dataset/
├── 15_kinpaku_texture/
│   ├── kinpaku_001.png
│   ├── kinpaku_001.txt
│   ├── kinpaku_002.png
│   ├── kinpaku_002.txt
│   └── ... (20枚)

データセット仕様

項目内容
画像枚数20枚(30枚撮影→厳選)
画像解像度2048px以上(学習時に自動リサイズ)
ファイル形式PNG(非圧縮)
照明LEDパネルライト×2(45度+レフ板)
背景グレー布(ニュートラルグレー)
キャプショントリガーワード+素材物性記述(英語)

20枚の厳選された撮影画像と、素材の物性を正確に記述したキャプション。この2つが揃えば、質感LoRAは驚くほど忠実に素材の「手触り」を再現する。

TextureLoRALab運営 シフク

高校で日本画、公立芸大で芸術学を学び、英国で博物館学修士(Merit)を修了。美術品の質感をAIに刻むLoRA学習の研究・開発を行う。300回超えのLoRA学習から得た知見を発信中。

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